
(初出:25/04/05)
デビュー25周年アニバーサリー企画第一弾として、2024年7月28日(日)の東京・duo music exchangeを皮切りに、約8ヶ月間に渡り全国25ヶ所28公演が行われたロングツアー「矢井田 瞳 弾き語りツアー ~GUITAR TO UTA 24-25~」。そのファイナル公演が4月4日(金)、東京・WWWXで開催された。
SUMMER期、AUTUMN期(含ビルボード特別公演)、WINTER期、SPRING期と4ブロックで開催された今回のツアーのセットリストは25年間にリリースされた全オリジナルアルバムから選曲。ファンからのリクエストも反映しながら、ツアーが進むごとにマイナーチェンジされ、全公演異なる全キャリアを網羅した内容に。東京・WWWXで行われたファイナル公演では本ツアーの集大成と呼ぶべきステージが繰り広げられた。
客入れのBGMは伝統的なアイルランド音楽。開演時間になると照明が落とされ、アコギを持った矢井田 瞳がステージに登場した。最初の楽曲は「マーブル色の日」(AL「Here today-gone tomorrow」/2005年)。生音、生声を活かした演奏によって、すべての観客をグッと引き寄せる。〈行かないで まだ君に話し足りない〉というフレーズに導かれたのは、「地平線と君と僕」(ミニAL「123456」/2013年)。自然と手拍子が起こり、心地よい一体感が生まれた。
「みんなにとって、私にとって、今日という日が今まででいちばん素敵な日になりますように、という願いを込めて」という言葉から始まった「さらりさら」(AL「オールライト」/2022年)でポジティブな風を吹かせた後、最初のMC。
「『矢井田 瞳 弾き語りツアー ~GUITAR TO UTA 24-25~』へようこそ! 8ヶ月くらいかけて全国を回ってきて、今日、渋谷に来ました。千秋楽です! 日本全国で交換してきたパワーとか、いただいてきたエネルギーを全部ここで放出したいと思っています」

ここからは矢井田 瞳の奥深い音楽性をじっくり味わえる時間が続いた。
エキゾチックな手触りとブルースのフィーリングが混ざり合う「一人ジェンガ」(AL「Air/Cook/Sky」/2003年)では〈会いたいけど会えないの〉とどうしようもない孤独を映し出す。雨音のSEとともに披露されたのは「雨の降る街」(AL「VIVID MOMENTS」/2011年)では、大切な人を失った“僕”の哀切を叙情豊かに歌い上げた。そしてドアが閉まる音から「未完成のメロディ」(AL「i/flancy」/2002年)へ。アコギにエフェクトをかけ、楽曲の世界観を拡張していくパフォーマンスも印象的。楽曲に込められた情景やストーリーに没入できる感覚もまた、彼女の弾き語りの大きな魅力だ。
「今回のツアーは、デビュー25周年を記念した弾き語りツアー。2000年にデビューしたときは25年も歌ってるなんて思ってもみなかったので、感謝感激です」と感謝の気持ちを言葉にした矢井田 瞳。「今日のライブにはかわいいリクエストがあるので、お応えしたいと思います」と披露されたのは、童謡の「にじ」(小5の女子のリクエスト)。続く「かまってちゃん。」(AL「Sharing」/2020年)では軽やかなギターのストロークとフット・タンバリンの音が響き合い、気持ちいい高揚感へと結びつけた。
さらに「間違いだらけのダイアリー」(AL「panodrama」/2012年)、「ハッピースピナー」(AL「colorhythm」/2008年)とリスナーの背中を押すポジティブソングを2曲。楽曲の“キメ”に合わせた観客の手拍子や掛け声が鳴り響き、ステージと客席の距離がさらに近づいていく。
「弾き語りは身一つでやるので、服は着てるけど、裸でステージに立ってるような気持ちです。弾き語りでしか味わえない景色や光景があるので、今回のツアーもめちゃくちゃ楽しいです」とコメントした後、夏のバンドライブの開催を告知。「気心知れたメンバーと25周年でライブができるのが楽しみ。今から鼻息荒くしてます!」と意気込みを語ると、観客からは大きな拍手と歓声が送られた。
ここからライブは後半へ。「ライブで演奏することで、みんなが育てて、大きくしてくれた曲だと思います」と紹介されたのは「手と涙」(AL「Candlize」/2001年)。〈安心してね 道は長い/ゆっくり行こうよ〉と語り掛けるように歌い、心地よい感動で包み込まれた。さらに「愛情を憎しみが混在するこの世の中をたくましく生きていきましょう」と「アイノロイ」へ。思い通りにいかない日々と向き合いながら、それでも〈幸せの形は 私が決めるの〉という決意を綴ったこの曲は、オーディエンス一人ひとりの心に強く刻まれたはずだ。
「ここから元気な曲をやります!」と「Go my way」(AL「IT’S A NEW DAY」/2006年)からライブはクライマックスへ。「B’coz I Love You」(AL「daiya-monde」/2000年)、「Look Back Again」(AL「Candlize」/2001年)、「My Sweet Darlin’」(AL「daiya-monde」/2000年)と代表曲を次々と放ち、会場全体をナチュラルな高揚感で包み込んだ。凛とした手触りと大らかな解放感を同時に感じさせるボーカルがとにかく気持ちいい。
本編最後は「Life’s like a love song」(AL「Candlize」)。〈貴方の想い 歌ってゆこう/もう泣かせないよ〉というフレーズ、そして、〈LaLaLa..〉の大合唱がゆったりと広がるシーンは、今回の弾き語りツアーの大きなハイライトだったと思う。
大きな“ヤイコ”コールに導かれ再びステージに登場した矢井田 瞳は、観客が掲げたサイリウムに驚きながら「え、サプライズ? きれい! ありがとう!」と喜びを表した。アンコール1曲目はエレキギターをかき鳴らしながら放たれた「Simple is Best」(AL「VIVID MOMENTS」)。そして「私の音楽に周波数を合わせてくれたら、私はそこにいつでもいるので。つながってつながって。独りぼっちじゃない、そんなイメージでこの曲を歌いたいと思います」という言葉から「Circle」(アルバム「TIME CLIP」/2016年)を歌い上げ、ライブはエンディング。矢井田 瞳の25年のキャリアを追体験すると同時に、“今”の彼女の表現を存分に体感できる充実のステージだった。
ライブ終演後には、各種音楽配信サービスでセットリストプレイリストが公開された。8月にはデビュー25周年アニバーサリー企画第二弾として、ファン投票によるリクエストライブ「矢井田 瞳 25th Anniversary Live Tour『25』」の開催も決定。(8月3日(日)東京・ヒューリックホール東京、8月16日(土)大阪・大阪サンケイホールブリーゼ。5/7まで矢井田 瞳デビュー25周年サイトにてリクエスト受付中)。25周年を迎え、自らの音楽の世界をさらに豊かに広げ続けている矢井田 瞳。アニバーサリーイヤーの活動を通し、彼女の歌は多くの音楽ファンの心を捉えることになりそうだ。

Text by 森 朋之
Photo by スエヨシリョウタ
■セットリストプレイリスト「矢井田 瞳 弾き語りツアー ~GUITAR TO UTA 24-25~」が各種配信サービスにて公開
▽矢井田 瞳 弾き語りツアー ~GUITAR TO UTA 24-25~
https://yaiko.lnk.to/GUITARTOUTA24-25
【公演概要】
■デビュー25周年アニバーサリー企画第一弾全国弾き語りツアー
「矢井田 瞳 弾き語りツアー ~GUITAR TO UTA 24-25~」(全国25ヶ所28公演)終了
「矢井田 瞳 弾き語りツアー ~GUITAR TO UTA 24-25~」最終公演
開催日時:2024年4月4日(金)OPEN 17:00/START 17:30
会場:東京・WWWX
【セットリスト】
1.マーブル色の日
2.地平線と君と僕
3.さらりさら
4.一人ジェンガ
5.雨の降る街
6.未完成のメロディ
7.かまってちゃん。
8.間違いだらけのダイアリー
9.ハッピースピナー
10.手と涙
11.アイノロイ
12.Go my way
13.B’coz I Love You
14.Look Back Again
15.My Sweet Darlin’
16.Life’s like a love song
17.Simple is Best
18.Circle
■LIVE / EVENT 情報:
デビュー25周年アニバーサリー企画第二弾リクエストライブ開催決定!
「矢井田 瞳 25th Anniversary Live Tour『25』」
2025年8月3日(日) 東京・ヒューリックホール東京 OPEN 16:30 / START 17:30
2025年8月16日(土) 大阪・大阪サンケイホールブリーゼ OPEN 16:30 / START 17:30