(初出:24/01/28)
乃木坂46「34thSG アンダーライブ」の最終公演が、1月27日(土)ぴあアリーナMMにて開催された。
34thシングル「Monopoly」のアンダー楽曲「思い出が止まらなくなる」参加メンバー14名による今回のアンダーライブは、1月25日(木)から3日間にわたり同会場にて敢行、1日1万人(合計3万人)を動員、また最終公演では、インターネット配信も実施された。
「Overture」に続いてステージにスポットライトが当たると、真紅の衣装を身に纏ったメンバーが横一列に並ぶ姿が浮かび上がる。すると、本公演の座長を務める中西アルノが「アンダーライブ最終日、全員いくぞーっ!」と力強く叫び、そのままライブは「マシンガンレイン」で力強くスタート。中西がセンターに立ち、輩から受け継いだこの曲を仲間たちとともに見事な形で表現してみせると、会場の熱気は急加速。続く「自惚れビーチ」では小川彩がセンターを務め、彼女の愛くるしさがフィーチャーされたパフォーマンスでファンを魅了する。さらに、もはやアンダーライブに欠かせない代表曲に成長した阪口珠美センターの「口ほどにもないKISS」、清宮レイがポジティブなオーラを放つ「生まれたままで」と、曲を重ねるにつれ会場の一体感が高まっていく。
4曲終えると、大きな旗を手にした14人が息の合ったフラッグパフォーマンスを披露。そのまま松尾美佑が頼もしい表情を浮かべる「錆びたコンパス」へとつなげ、伊藤理々杏&林瑠奈のダブルセンター曲「さざ波は戻らない」、アンダーライブを語る上で重要な1曲「ここにいる理由」と、新旧アンダー楽曲で構成された緩急に富んだセットリストで、見応えのあるステージを繰り広げた。
その後、今回のアンダーライブの目玉のひとつであるユニットコーナーへ。昨年12月にYouTubeで配信された「乃木坂46分TV」で決定した3組「優柔不断なプリンセス」「ぴんくちゃん」「なんでもやさん」が、独自の選曲や演出でパフォーマンスを繰り広げる。トップバッターの「優柔不断なプリンセス」(伊藤理々杏、岡本姫奈、阪口珠美、清宮レイ、中村麗乃)は、ティーパーティー風の演出を用いて「全部 夢のまま」を華やかに披露し、続く「ぴんくちゃん」(奥田いろは、佐藤璃果、林瑠奈、矢久保美緒、吉田綾乃クリスティー)は「大嫌いなはずだった。」を、原曲を歌う「さゆりんご軍団」&「真夏さんリスペクト軍団」へのリスペクトを感じさせる衣装で元気よく歌唱。最後に登場した「なんでもやさん」(小川彩、佐藤楓、中西アルノ、松尾美佑)は、「遠回りの愛情」を美しいハーモニーと華麗なコンテンポラリーダンスで表現して観客を魅了する。最後は3組が勢揃いし、「ハウス!」で場の空気を一変。一部メンバーはフロートに乗ってアリーナを回遊し、ファンを大いに喜ばせた。
続いては、初の試みが多数用意された挑戦的なブロックへ突入。軽快なおしゃべると小粋な音楽で来た者を癒すバーを舞台に、マスターの吉田が来店した奥田と林のお悩みを解決していく。そして、この3人に伊藤、小川、中西、中村を加えた7人でジャズ風にアレンジされた「三角の空き地」「涙がまだ悲しみだった頃」をしっとりと、落ち着いた大人のトーンで歌唱してみせた。
2曲歌い終えると、その日の売り上げと“大事なもの”を宝箱にしまいバーを閉店。吉田がバーを離れると同時に、アイマスクを付けた怪盗団の7人(岡本、阪口、佐藤楓、佐藤璃果、清宮、松尾、矢久保)が侵入する。コップやステッキを用いたパフォーマンスや、ミュージカルを彷彿とさせる妖艶なダンスを交えながら「My rule」「Hard to say」を披露し、お宝を手に入れようとする。
ストーリー性の強い演出に続き、荘厳なSEに乗せてステージ後方からドラムセットとともに中西が登場。ステージ両サイドには、同じくドラムセットに座る小川、松尾も姿を現し、それぞれ特徴の異なるセッティングが施されたドラムセットで派手な演奏が繰り広げられる。アイドルグループでは例を見ないトリプルドラムによる華麗な競演に観客が熱狂すると、ほかのメンバーもステージ登場し、3人のパワフルなドラム演奏に合わせて「Under’s Love」を披露。迫力のある音圧とパフォーマンスに圧倒されたオーディエンスは、歓喜の声と拍手で彼女たちを称賛した。
乃木坂46としても新境地を見せたブロックを終えたあとのMCでは、怪盗団が盗んだ宝箱に入っていた“大事なもの”が明かされることに。初日公演ではオーディション期間中に撮影された吉田のレア写真、2日目公演は同じく阪口の貴重な写真が入っていてファンを沸かせたが、最終日に入っていたのは「乃木坂工事中」のハロウィン企画でトライした、小梅大夫を真似した白塗り&和装姿の佐藤楓の写真。前2日とは趣向の異なる写真がスクリーンに映し出されると、会場の空気は一気に和んでいった。
和気藹々とした雰囲気のトークを経て、ライブも後半戦へ。中西が圧巻のボーカルで場を沸かせる「Actually…」が場の空気を見事に作り上げると、その後は観客のペンライトが会場を真っ赤に染める佐藤楓センターの「届かなくたって…」、前回のアンダーライブの軸となった松尾センター曲「踏んでしまった」、一期生や二期生のいないアンダーライブにおける“はじまりの一歩”となった中村センター曲「悪い成分」と、近年のアンダー楽曲が立て続けに披露される。さらに、人気の高いアンダー楽曲「日常」を小川のセンターでパフォーマンスすると、会場の熱気も沸点に到達。クライマックスに相応しい盛り上がりを見せた。
最後の曲に移る前に、座長の中西が「私は乃木坂に加入してから、もうすぐで2年になるんですけど、やっと少しずつ周りのことも見れる余裕ができてきたなと思います」と現在の心境を口にする。彼女は「このライブを作るのにたくさんの方が関わってくださっていて、その方々みんなの期待に応えるために走り続けた3日間でした」と今回のライブを振り返りつつ、「その中で、たくさん自分自身と、アンダーライブと、アンダーメンバーと、乃木坂46と向き合ってきました。みんな優しくてあったかくて、努力家で。それに加えて、こんなにたくさんの愛を送ってくださる(ファンの)方々がいっぱいいて。乃木坂46って最強なんですよ。だから、私たちもこのアンダーライブ、史上最強を更新し続けます。最後の最後まで、見届けてください」と気持ちを込めて宣言。その思いを形として表すように、34thシングルのアンダー楽曲「思い出が止まらなくなる」を、笑顔を振りまきながら全力でパフォーマンス。最後に中西は「全部出し切ったって言えるライブができたと思います。私たち14人は選ばれてこのステージに立っています。私は今ここにいることに誇りを持っています」と息を切らしながら伝えて、ステージを降りた。
アンコールはメンバー一人ひとりの直筆メッセージと「アンダーライブ3日間本当にありがとうございました」の言葉とともに、「誰よりそばにいたい」からしっとりとスタート。14人の気持ちがたっぷり込められた歌声で会場を優しく包み込み、メンバーがギュッと寄り添うエンディングでは中西が感極まる一幕も。そこから「ロマンスのスタート」「あらかじめ語られるロマンス」で場の雰囲気を一変させ、再び熱気に満ちた空間を作り上げる。最後のMCでは清宮が「私、当たり前に感じちゃっていたんですけど、ファンの方が私たちを求めてくれることにすごくありがたいな、改めてすごく恵まれているなって気持ちでいっぱいになりました」、矢久保が「私たちはアンダーメンバーという名前が付いているので、かわいそうと思われている方がいるかもしれないけど、私たちはこんなに求めてもらえて、こんなに声援をいただけることが本当にうれしいんです」と思いを告げ、伊藤も「アンダーメンバーって一人ひとりが悔しさとか複雑な心境とか葛藤とか持っているけど、その思いをステージにぶつけて、皆さんにこうやって受け取ってもらえることが幸せなんです」とポジティブな思いを伝える。そして、最後にステージ上のメンバーと観客がひとつになって「乃木坂の詩」を歌い、新たな伝説を作り上げた「34thSG アンダーライブ」を終了させた。
本来ならここでライブは終了する予定だったが、会場内の明かりがついても観客の「乃木坂46コール」は鳴り止まない。そんなファンの熱に応えるように、再度ステージに登場したメンバーはこの14人にとって大切な1曲「思い出が止まらなくなる」をプレゼント。より一層大きくなる声援やコールに対し力強い歌声と最高の笑顔を届けて、ダブルアンコールを終えた。そして、最後の最後に肉声で「ありがとうございました!」と感謝の言葉を届け、千秋楽公演を終えた。
2024年最初のライブを成功させた乃木坂46は、3月7日?10日にさいたまスーパーアリーナで「12th YEAR BIRTHDAY LIVE」を開催する。2年目を迎えた新体制の乃木坂46による快進撃は、まだまだ止まりそうにない。
(文/西廣智一)
セットリスト
- Overture
- マシンガンレイン
- 自惚れビーチ
- 口ほどにもないKISS
- 生まれたままで
- 錆びたコンパス
- さざ波は戻らない
- ここにいる理由
- 全部 夢のまま
- 大嫌いなはずだった。
- 遠回りの愛情
- ハウス!
- 三角の空き地
- 涙がまだ悲しみだった頃
- My rule
- Hard to say
- Under’s Love
- Actually…
- 届かなくたって…
- 踏んでしまった
- 悪い成分
- 日常
- 思い出が止まらなくなる
アンコール - 誰よりそばにいたい
- ロマンスのスタート
- あらかじめ語られるロマンス
- 乃木坂の詩
ダブルアンコール - 思い出が止まらなくなる