【ライブ】『立ってるだけでバズる!?』 JK・JC集団、ド素人ワンマンライブ満員御礼

（初出：24/12/03）

ここ数ヶ月、主に新宿で路上ライブファンをトリコにさせているJK・JC集団をご存じだろうか。
制服で歌って踊ってギターを弾く複数の女子中高生に足を止める人が続出。

決して上手いとは言えないパフォーマンスではあるものの、彼女たちの純粋に音楽を楽しんでいる姿をみた大人ははるか昔、青春という時代に想いを巡らせなんでもできたあの時代を懐かしみ、青春を生きる彼女たちを愛おしく思うことだろう。

そんな彼女らはTiktokに動画を投稿開始してから1ヶ月も経たない間に1万人フォロワーを突破。

本格活動開始から1ヶ月後にはメンバー自身が電話営業した高校や大学の学園祭に出演、路上ライブでは毎回80名ほど集めているなかなかの実績、行動力を持っている。
彼女らは自身を『放課後.com』（ほうかごどっとこむ）と名乗っている。

SNSでは放課後に集まり公園や学校の階段と思われる場所で撮影しているダンス・ギターを用いた歌唱動画が話題沸騰中。さらに「＃放課後課外学習」のハッシュタグで300本ほどファンの撮影動画が投稿されており人気も急上昇中。中にはメンバーが路上でカメラ目線で笑っているだけの動画が10万回再生されているものもあるようだ。

そんな放課後.comが12月1日（日）、YOANI live stationにて300キャパの初ワンマンライブ『放課後ライ部vol.1』を開催。
メンバーと同世代の若者も多く来場しており、彼女たちの粋な計らいで学生エリアやフォトブースが設けられていた。

文化祭がテーマとなっている今回のライブは公式Tシャツも高校生が作るユニフォーム風のクラスTシャツのデザインになっており、背番号には全員『１』が書かれている。
オープニングではメンバーの手作りの名前入りメガフォンやタスキなどの小道具を持ち、簡易的なセットではあるもののステージはキラキラと輝き彼女たちの楽しそうな表情に目を奪われる。

どうやら今回は初披露のオリジナルソングが大量に発表されるようで『はじめまして』という曲名通り1曲目からはじめましての楽曲ばかりでファンも困惑。
それもそのはず、彼女らはこれまで一度もオリジナルソングをリリースしたことがない新人中の新人アーティストである。

2曲目の『かわいい更新中$203C$FE0E』は立ってるだけでバズる代表メンバー・にこが作詞をしているそう。他のメンバーも作詞作曲ができるようでその多才ぶりに驚かされる。

3曲目からは赤と黒の衣装に着替えた放課後.comのダンス部メンバー（はんな、つくし、かれん、にこ）が登場。小悪魔な女の子が主人公の『My Fairy Tale』を披露。いつもの制服姿とは一変してクールなダンスの中ではんな（15）の突然のウィンクに会場が湧き上がる。

カバーでアイドルソングを披露したのちに登場したのは放課後.comの実力派メンバーである珠夕（しゅう）（16）と鎌田琥珀（17）。ダブルギターでファンからのリクエストに答え、2人の美声を聞き漏らすまいと会場は一気に静まり返る。

リクエストコーナーが終わったのちに登場したのはスケバン風セーラー服を身に纏った中学3年生の3人組『中3トリオ』（はんな、さつき、にこ）。

なんとこのコーナーではメンバーのにこだけ台本がないらしく、にこワールド全開にフリートークで盛り上げる3人。中学3年生らしい和気藹々としたトークと純粋な素朴な可愛さに目が奪われる。
「はるか昔に花の中３トリオという方達がいたらしいので…私たちも真似して昭和の曲歌っていいですかー？」と観客に声をかけ始まったのは5曲の名曲で構成された昭和・平成メドレー。

3人の無邪気な様子、素人感満載で不慣れながらも一生懸命踊っている様子は親心もくすぐり応援ムード漂う温かい雰囲気に。

その後も年上メンバーでのバラード披露などが続き、ライブの終盤では放課後.comがデビュー前の練習生集団であること、中高生限定プロジェクトであるため3月の卒業ライブをもって高校3年生メンバー（鎌田琥珀、まきのつくし、きらら）が卒業予定であること、3月に、ある1組がデビューすることが発表予定など相次いで情報解禁があり、ファンは動揺しながらも前向きな応援ムードで、卒業予定の鎌田琥珀・まきのつくし・きららは涙を堪えながら最後の2曲を歌い上げていた。

様々な魅力を見せつけながらも常に漂う素人感。

メンバーのMCのぎこちなさや振り付けもなくステージに１列で歌っている様子はなかなかの付け焼き刃的な演出と思わざるを得ない。

しかしこの放課後.com、とにかく歌を届けよう、幸せな気持ちにしようという志がメンバー全員が一生懸命に全身を使って表現している様子からひしひしと伝わってくる。
これが放課後.comの１番の魅力だ。

未熟なパフォーマンスでもついつい手拍子をして、声をあげて応援したくなる純粋に音楽を楽しみ夢を追いかけている姿が初めてのワンマンライブで300人キャパを満員御礼にしている勝因であることは間違いない。
彼女たちは3年後武道館に立っているのだろうか。はたまた解散してしまっているだろうか…

どちらの可能性を感じながらも彼女らが夢を叶える姿をこの目で見たい、観客をそう思わせる彼女たちの強い思いに身を委ね、武道館までの道のりを今後も見届けていこう。