(初出:23/02/23)
2月22日にCDデビュー11周年を迎えた乃木坂46が、毎年恒例のバースデーライブ「乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE」初日公演を同日に横浜アリーナで開催した。
1期生の秋元真夏、2期生の鈴木絢音の卒業を控えたタイミングに実施される今年のバースデーライブは、22日の全体ライブを皮切りに、23~25日に3~5期生による期別ライブが行われ、26日には秋元の卒業コンサートという横浜アリーナ5DAYS公演として展開される。
1~5期生が揃う形での全体ライブは、秋元の卒業コンサートを除けばこの日が最後。先日、32ndシングル(3月22日発売予定)を3~5期生のみの編成でリリースすることを発表したばかりとあって、この日のライブも乃木坂46の未来を担う3~5期生を中心に、頼もしいパフォーマンスが次々に披露されていった。
この公演からマスク着用の条件付きで、ライブ中の“声出し”が可能に。開演前から観客の熱狂的な声援が飛び交う中、オープニングを飾ったのは通常のライブでは最後に披露される「乃木坂の詩」だった。秋元が11回目のバースデーライブを開催できる喜びと感謝を伝えると、「皆さんも一緒に歌ってください!」を合図にメンバー、観客と一緒に歌声を響かせる感動的な場面が繰り広げられた。
この日のライブは全255曲におよぶ乃木坂46の楽曲から、ファンが聴きたい曲上位20曲を中心に披露することが秋元から告げられる。「タオルもペンライトも声も、(準備は)いいですか?」と声をかけると、ライブは20位の「夜明けまで強がらなくてもいい」からカウントダウン形式で進行していく。
3期生曲「思い出ファースト」では岩本蓮加が、アンダー楽曲「日常」では卒業した同期・北野日奈子の代わり鈴木絢音がそれぞれセンターを務め乃木坂46の“今”をアピールする一方で、「裸足でSummer」ではメンバーがスタンド席をトロッコで移動するなどの演出も用意。どの瞬間も見逃せない、特別なステージが次々と進行していく。また、「ひと夏の長さより・・・」「逃げ水」「Sing Out!」をメンバー一丸となって客席に届けたかと思えば、「言霊砲」では久保史緒里、山下美月、与田祐希の“いもうと坂”が、成長した姿を提示。結成10周年を祝して制作された「他人のそら似」では、さらなる一体感を高めていった。
11位までの楽曲を披露し終えると、秋元の合図に続いてその場にいる全員で「Happy Birthday To You」を歌い、乃木坂46の11歳の誕生日を祝福。「ここでまた最高のスタートを切れたと思いますので、12年目の乃木坂46もよろしくお願いします」と改めて感謝の言葉を送る。
続いて、3月末に卒業を迎える鈴木が「今日は後輩に対して、背中で語っていきたい」、副キャプテンの梅澤美波は「3期生にとっては今回が先輩と一緒に迎えられる最後のバースデーライブ。大きなターニングポイントになるという気持ちで臨みます」と力強く宣言した。
ランキングを一旦離れ、ここからは楽曲を通して2022年を振り返るブロックに。まずはグループに合流して1年を過ぎた5期生が「絶望の一秒前」で、堂々とした姿を見せつける。続いて、中西アルノが「私はこの曲が好きで、この曲を通して出会えた人たちが大好きです。今日はそのことが少しでも皆さんに伝わりますように」と感極まりながら、自身がセンターを務める「Actually…」で圧巻のパフォーマンスを展開。その一方で、3~4期生で構成されたアンダーメンバーは「届かなくたって…」を、力強さとしなやかさを併せ持つダンスで表現してみせた。
昨年の日産スタジアム公演を振り返る映像を挟み披露されたのは、同公演の幕開けを飾った“乃木坂46はじまりの歌”「ぐるぐるカーテン」。11年前にリリースされた当時のメンバーはもはや誰ひとり残っていないが、それでも歴史を継承し続ける現メンバーを代表し、秋元が「ここまで乃木坂46を支え、成長させてくれた皆さん、本当にありがとうございました」と感謝を口にする。
続く「好きというのはロックだぜ!」ではセンター賀喜遥香の煽りを受け、客席から盛大なシンガロングが湧き起こる。ここでは曲に合わせてタオルを回すオーディエンスの頭上を、クジラやイルカが飛び交う演出も用意。その後も山下の笑顔が印象的な「好きになってみた」、大人びた空気を醸し出す「パッションフルーツの食べ方」、エモーショナルさが際立つ「Under’s Love」など、先輩の卒業を経て逞しく成長した現メンバーによる堂々としたステージが続く。
カラフルな衣装を身に纏った「銭湯ラプソディー」、歌唱力に定評のあるメンバーが揃った「甘いエビデンス」、アンダーライブをネクストステージへと導いた中村麗乃センターの「悪い成分」とバラエティ豊かな31stシングル収録曲が連発されると、最後は「ここにはないもの」で2022年振り返りパートは締めくくり。曲に入る前に、遠藤さくらが昨年末の齋藤飛鳥卒業で止まってしまった時を動かしたいと決意を口にすると、この日のために制作された特別な映像を背に、自身がセンターに立って涙ながらにこの曲を見事に表現してみせた。
「僕は僕を好きになる」からリクエスト曲カウントダウンが再開すると、会場一面が緑色のペンライトで染まった「サヨナラの意味」、“新・華の2001年組”が優しい歌声で会場を包み込む「価値あるもの」、軽やかなリズムに乗せて多幸感を演出する「全部 夢のまま」、5期生によって歌い継がれる「やさしさとは」、クラップで一体感を作り上げる3期生曲「僕が手を叩く方へ」としっとりめの楽曲が続く。そんな中、もはやライブに欠かせない1曲「I see..」が投入されると、空気が一変。賀喜の「全部出し切れ!」を合図に、会場が歓喜の声で包まれていく。
リクエストランキングも残すところ3曲。クライマックスにふさわしい「帰り道は遠回りしたくなる」では遠藤が、アルバム曲ながらも上位入りを果たした「ありがちな恋愛」では山下&賀喜がそれぞれセンターを担当し、卒業した先輩の思いを継承しつつ彼女たちらしさもしっかり感じられるパフォーマンスで観る者を魅了する。そして、リクエスト1位にして本編ラスト曲に選ばれたのは「きっかけ」。乃木坂46らしさに満ち溢れた名曲を、グループの歴史を彩ってきたさまざまな衣装を着用したメンバーが思いをたっぷり込めて歌唱して、11回目のバースデーライブ初日公演の本編を締め括った。
アンコールは山下の「おまえら、いけんのかーっ!」を合図に「ガールズルール」からスタート。続く「ダンケシェーン」含め、会場中が熱気と大歓声に包み込まれ、ライブは最高潮を迎える。その後、賀喜や山下が今日の感想を告げていくと、5期生の井上和が「声出しライブは初めてだったので、ステージに出てお客さんの声を聞いたときは最初、緊張していたんですけど、だんだんとお祭りみたいに感じられてリラックスできました」と笑顔で答える。
また、この日は秋元から新キャプテンに梅澤を襲名するサプライズ発表も。「この立場になって初めて、真夏さんが背負っていたものの大きさに気づきました」と語る梅澤は、「これから乃木坂を引っ張っていくには、この重みと怖さを吹き飛ばしていく強さが必要。ファンの皆さんが楽しんで追いかけられるグループになれるように、私なりに少しずつ頑張っていきたいと思います」とファンを前に力強く宣言した。梅澤に対して客席から温かな拍手が送られる中、最後は「君の名は希望」で3時間以上にわたる11回目のバースデーライブ初日公演は幕を下ろした。
(文/西廣智一)
セットリスト
- 乃木坂の詩
Overture - 夜明けまで強がらなくてもいい
- 思い出ファースト
- 日常
- 裸足でSummer
- ごめんねFingers crossed
- ひと夏の長さより・・・
- 逃げ水
- Sing Out!
- 言霊砲
- 他人のそら似
- 絶望の一秒前
- Actually…
- 届かなくたって…
- ぐるぐるカーテン
- 好きというのはロックだぜ!
- 好きになってみた
- パッションフルーツの食べ方
- Under’s Love
- 銭湯ラプソディー
- 甘いエビデンス
- 悪い成分
- ここにはないもの
- 僕は僕を好きになる
- サヨナラの意味
- 価値あるもの
- 全部 夢のまま
- やさしさとは
- 僕が手を叩く方へ
- I see…
- 帰り道は遠回りしたくなる
- ありがちな恋愛
- きっかけ
アンコール - ガールズルール
- ダンケシェーン
- 君の名は希望